安心できる人と出会えたはずなのに、
なぜか距離を取りたくなってしまう——
本当は大切にしたい関係なのに、
急に気持ちが冷めたように感じたり、
一人になりたくなったりすることはありませんか?
「どうして私はこうなんだろう」
「せっかく良い関係なのに、壊してしまいそう」
そんなふうに感じてしまう方もいるかもしれません。
実はこの感覚、愛着の影響によって起きる、
とても自然な心の反応のひとつです。
この記事では、
安心できる関係になると離れたくなる理由と、
その心の仕組みをやさしく紐解いていきます。
■安心できるはずなのに離れたくなるのはなぜ?
人は本来、安心できる関係を求めるものです。
けれど同時に、
誰かと深く関わることには“怖さ”も伴います。
相手に心を開くということは、
自分の大切な部分を見せるということでもあり、
傷つく可能性も含んでいるからです。
特にこれまでの経験の中で、
人との関係で傷ついたことがある場合、
心は無意識のうちにこう感じます。
「近づくと、また傷つくかもしれない」
すると、安心できる関係ほど、
逆に距離を取りたくなるという反応が起きることがあります。
これは、自己防衛という心の自然な働きです。
その奥には「もう傷つきたくない」という、
とても切ない気持ちが隠れています。
■愛着のブレーキが働くとき
このとき心の中では、
まるでアクセルとブレーキが同時に踏まれているような状態が起きています。
「近づきたい」「もっと一緒にいたい」という気持ち(アクセル)と、
「怖い」「離れた方が安全かもしれない」という気持ち(ブレーキ)。
この両方が同時に存在しているため、
自分でもどうしたいのか分からなくなってしまうことがあります。
近づいたと思ったら離れたくなったり、
安心したと思ったら急に不安になったり——
それは決して気まぐれなのではなく、
心がバランスを取ろうとしている自然な動きでもあるのです。
私自身も、同じような経験があります。
「自分は一体どうしたいのか?」
日によって気持ちが変わるように感じて、
自分を信じられなくなってしまったこともありました。
相手が問題なのか、
それとも自分の問題なのか——
そうやって、ぐるぐると考え続けてしまうこともありました。
■過去の経験がつくる“近づく怖さ”
心は過去の経験をもとに、
「どうすれば安全か」を学習していきます。
もし過去に、
・大切に思っていた人との関係で傷ついた
・近づいたあとに裏切られたと感じた
・安心したあとに不安定な出来事が起きた
そんな経験があると、
「大切な関係=傷つく可能性があるもの」
として記憶されていきます。
そのため、本当に安心できる人と出会えたときほど、
心は慎重になります。
そしてその慎重さが、
「離れたい」という形で表れることもあるのです。
離れて一人でいる方が楽だと感じることもあるでしょう。
人との関係が煩わしく感じたり、
うまく関われない自分を責めてしまったり。
理由が分からないまま揺れていると、
余計に混乱してしまうこともありますよね。
■離れたくなるのは冷めたからじゃない
ここで、とても大切なことがあります。
それは、
離れたくなる=気持ちがなくなった、ではないということです。
むしろ逆で、
大切に思っているからこそ、
心が守ろうとして反応している場合も多くあります。
大切だと深く感じるほど、
「危険かもしれない」と心が反応してしまう。
それは、本当に信頼し始めているサインであることもあります。
カウンセリングの関係の中でも、
安心や信頼が深まってきたときに、
同じような揺れが起きることがあります。
「安心する=油断すること」
そんな感覚がどこかに残っていると、
安心した瞬間にブレーキがかかることがあるのです。
■どう関わればいいのか?
では、このようなとき、どうすればいいのでしょうか。
大切なのは、無理にどちらかに決めようとしないことです。
無理に近づこうとすると苦しくなり、
無理に離れようとすると後悔が残る——
そんな状態になりやすいからです。
だからこそ、
・無理に近づかない
・無理に離れない
・今の自分の揺れをそのまま見てあげる
という関わり方がとても大切になります。
そしてもうひとつ大切なのは、
優しいままで距離を取ることを許すことです。
距離を取ることは、冷たさではなく、
自分を守るためのやさしさでもあります。
■「在る」に戻る関わり方
関係の中で揺れたときほど、
相手ではなく、自分の感覚に戻ることが大切です。
「私は今、どんな感覚でいるだろう」
「安心している?それとも少し怖い?」
そうやって自分の内側に意識を向けていくことで、
少しずつ軸が戻ってきます。
これは、相手をどうにかするためではなく、
自分の中に在るための関わり方です。
関係の中で自分を見失わずにいられるとき、
人との距離も、少しずつ自然なものに変わっていきます。
■まとめ
安心できる関係なのに離れたくなるとき、
「自分はおかしいのではないか」と感じてしまうこともあるかもしれません。
けれどそれは、心がこれまでの経験をもとに、
あなたを守ろうとしている反応でもあります。
離れたくなる気持ちも、近づきたい気持ちも、
どちらも大切なあなたの一部です。
どちらかを否定するのではなく、
その両方があることをそのまま受け止めながら、
少しずつ、自分にとって安心できる距離を見つけていけたらいいですね。
お電話でのお問い合わせは 055-288-0948