アダルトチルドレンの役割

アダルトチルドレンが幼い頃機能不全家庭の中で生き抜くために、自分が家族の役割を持つことで必要とされ、何とか生き抜こうとしてきた幼少期の役割が大人になっても社会に出てからそのまま「役割」としての生き方をしてしまう事で、生き辛さを抱えてしまったり、その役割が大きな負担になったりしてしまいます。
カウンセリングを受けて下さったクライアントさんの例を挙げながら紹介していこうと思います。

 

ヒーロー(英雄)


幼少期から優等生である事で、本当の家族の問題から世間の目を逸らしてきた方たちです。
成績優秀であったり、学校で生徒会をしたりすることで、褒められたり誇りに思ってもらえるように
自分の限界を超えて頑張り続けてしまうのです。
親からの期待がある場合は、その症状が強く出てしまい頑張っていない自分や出来ない他人を過小評価してしまい、何かの挫折が起きると心のバランスが崩れてしまい、「生きる価値」を感じられなくなってしまったり、人に対して「あいつさえいなければこんな風にはならなかった」という気持ちに囚われてしまい、問題と向き合うことが出来なくなってしまったりします。

あるいは、自由に行動することを怖れてしまい世間の基準や人目を気にし過ぎて、自分のしたいことが出来なくなってしまったりします。

ヒーロータイプのMさんがこう言っていました。 
「ずっと父の跡を継ぐことが大切で勉強ばかりしてきました。だから、自分のやりたかったことが分らなかった。高校生の時に友達がプリクラを撮ってきたなどと話しているのを聞いて、本当はとても羨ましかった」

このように、大きな自己犠牲の上に成り立っていた優等生という仮面の下には本来したかった事や本音が隠されていて、楽しんではいけない。という価値観を崩壊させ、もっと自分自身の為に生きてみるという選択をとれるようになった方もいらっしゃいます。

 

スケープゴート(生贄)


生贄という意味のスケープゴートでは、家族の問題を引き受けています。原因不明の病気になったり、虐待のある家庭では自分が殴られれば済むと考え犠牲になったりします。わざと失敗を起こして家族一致団結を図ろうとしたりもします。
自己犠牲が強く、自分でも気づかない内に(無意識で)その役割を大人になってからも、引き受けてしまう事が多くあります。
自己価値の低さや自尊心の低さが特徴で、独りぼっち感が強かったり、見捨てられ感や居場所のなさ、愛されているという実感が持てなかったりします。
自分自身に期待をしていなかったり、諦めてしまっている事があります。

スケープゴートタイプのSさんの言葉です。

「もう何をしても無理です。だから、いっそ死んだ方がみんなの為にもいいと思います。生きている価値のない人間もいる。そう思っていました。でも、本当は誰かに愛されたかったし本当に必要とされたかった。」

大人になってから、ずっと強く「死にたい」という感情に支配されてしまい、もう生きている意味も価値もないと自分を諦めて居たのは、幼少期からで「自分を大切に思う」という意味や感覚が全く分からないと言っていました。

このように、自分も愛を欲しがってもいいんだ。わがままを言ってもいいんだ。と自分の本心や本音に気付いてから、ご自身の人生を取り戻された方もいらっしゃいます。

 

ケアテイカー(世話役)


家族の世話を焼くという役割をしてきた方たちです。親子関係が逆転していて子供が親の面倒をみています。
家事をしたり、下の兄弟の面倒を見ていたり、自分の事を置き去りにして周りの面倒を見る事で、家族の問題を隠しています。
役に立つ事で必要とされようとするので、ただ愛されるという感覚が分らなかったり、自分が人の世話になることを怖れたり、いつも人が何を求めているのかを気にして、自分がどうしたいのかが分からなくなってしまったりします。問題のある相手を無意識に選んでしまい、恋愛では、自分が必要とされている事で安心を得ようとしてしまいダメンズメーカーなどと呼ばれることもあります。

ケアテイカータイプのKさんはこう言っていました。
「彼から必要ない人間だと思われたくなくて、彼の望むことならなんでも叶えてあげたかったし、彼が怒りだすと、私の努力が足りないと自分を責めて、自分が本当に無価値な人間なんだと落ち込んでいました。でも、本当は心の中でずっと誰かに頼ってみたかったし、甘えてみたかったんです。」

このように幼い頃から甘えさせてもらえる環境がなく、自分を犠牲にして人を助ける事で自分を保ってきた事で、彼の気分の問題も全て自分の問題になってしまう思考がありました。見捨てられるんじゃないかと不安になると余計に喜んでもらえるような事をして、ますます辛くなってしまっていましたが、私も甘えたい!私も頼りたい!という本音を知り、彼の機嫌は私の問題では無いときもあると学ぶことにより回復されました。

 

プラケーター(相談役)


プラケータータイプの方は、問題のある人の相談者になっています。家族が暗い顔をしていれば、そばに寄り添い話を聞いています。大人の問題を聞かされ、「お母さんはかわいそうな人」という価値観の元で育ちますので、お母さんに迷惑をかけるような事や、お母さんが悲しむような事をしないように気を付けていて、自分の気持ちや本当にやりたかった事を諦めたり、無かった事にしたりしてお母さんの愚痴を聞いてあげたり、気持ちを聞いてあげたりする事をします。

プラケータータイプのAさんはこう言っていました。

「母はいつも悲しげでした。父が全然帰ってこなかったので、よく泣きながら私に話をしていました。父の悪口や祖父母の悪口を聞いて育ったので、ずっと父や祖父母を悪い人だと思って生きてましたから、お母さんを苦しめる父や祖父母が大嫌いでした。でも大人になってから父と話すことがあって、そんなに悪い人ではなかったと思ったんですが、そんな風に感じた自分をすごく悪いことをしたようで、怖くてだれにも話せなかったんです。母は可哀そうだから、私は母の事を聞いてあげようと思い母の気持ちに寄り添うように生きてきましたが、本当は、私の好きな事をしたかった。母の望むことは叶えてあげられなくて、きっと悲しむけど、私を悲しませる事はもっと辛いことだと気づいたので、これからは私の気持ちを感じてあげたり、大切にしていこうと思います」

このように愚痴などを聞いているうちに、だんだん親の感情は自分の感情だと思い、母の悲しみは私が引き受けなければ…と境界線が引けなくなってしまい自分を押し殺して生きる事で生き辛さを抱えてしまう事があります。
自分の人生より母の人生を生きる事が正しく感じたり、母と自分は一心同体のように感じたりと、生き辛さを抱えてしまいます。

 

ロストワン(いなくなった子)


物静かで、存在感が薄く、目立つことがありません。「構ってもらえない」「必要とされていない」「孤独なのにわかってもらえない」「誰も見てくれない」「見捨てられた気持ち」などを感じやすく、その気持ちを外に出す事すらも諦めてしまっています。
「手のかからないいい子」と思われているのですが、彼らがその場から立ち去っても誰も気にしない存在感の薄い方です。

ロストワンの傾向を持つHさんがこう言っていました。
「母はいわゆるネグレクトでした。まったく食事や私たちの世話をしてくれなかったのです。ある時同級生のお母さんがご飯を食べさせてくれてお風呂にも入れてくれた事があったんです。小学生の頃の思い出ですが、強く今でも残っている記憶です。私は普段誰からも気に留めて貰うことがなかったので、すごく違和感がありましたが、本当はとても嬉しかった。この家の子になりたい!と心の中で何度も思ったんです。大人になってからも、強い孤独感と居ても居なくても誰も気づかない自分に悲しかった。会社の集合写真の時トイレに行った私を誰も気づくことなく集合写真を撮り終えた所をみた時、自分って何なんだろう…と悲しみを超えて絶望感のような感情を感じました。もっと私を見て欲しかった!もっと私を大切にしてほしかった!もっと私に構ってほしかった!その本音を知る事が出来たので、少し怖いけど、自分の話をしてみたり、大切に自分自身で出来るようにしていきたいです。」

このようにロストワンの方は、自分で自分をこんなものだ。仕方ないとあきらめてしまっている事が多いです。
誰からも気にかけて貰えなかった悲しみや孤独を癒し、自分を活かしてあげる生き方や自分を表現してもいいという安心感を知る事で、生き辛さや孤独感から解放され自分らしく生きる事が可能になります。

 

マスコット(ピエロ)


楽しませる事・喜ばせる事・お茶目・常にニコニコしている。
それが適わない場合ひどく落ち込んで鬱状態に陥ってしまうのですが、この状態になってもマスコットの方は、助けを求められない事が多いです。
家族が険悪なムードになると、楽しませたり、喜ばせるような事言ったりして家族を和ませようとします。
本当はとても不安を抱えていたり、助けを求めていたりしますが、本音を隠しおどけた顔をしたり可愛い自分でいる事で家族の問題を引き受けています。

マスコットタイプのKさんがこんな事を言っていました。

「家の中ではいつも楽しく仲良くいて欲しかった。みんなが笑ってくれると心の底からホッとしました。でも、学校にいっている間も、また父と母がケンカをするんじゃないかと心配で走って学校から帰ることなんていつもでした。自分が居ないと家族が壊れてしまうんじゃないかと思っていたと思います。会社でも学校でもイジメみたいな事があったんです。本当はすごく嫌な事をされたり、言われているのに笑ったり、ヘラヘラしたりして誤魔化してきました。本当は笑いごとじゃないのに!!悔しかったし怖かったし不安でした。悔しかった!本当はとても怖がっていた自分を感じる事が出来ました。無理して笑っていたことにも…もう誰かの機嫌をとったり笑ったりするんじゃなくて、自分の気持ちを大切にしたい!本気でそう思っています」

このように、自分の本音を押し隠し、嫌な空気になる事を怖れ、無理してひょうきん者を演じ心がボロボロになってしまう事があります。本当の気持ちを感じてあげたり、自分の本音を大切にする事や周りの問題を引き受けなくてもいいという事を学んでいく事で、自分らしく歩いていけるようになります。

 

上記に挙げた役割は一つだけ持っているというより、機能不全家庭の複雑な問題を生き抜く為に、場面によって使い分けて、いくつもの役割を持っているケースの方が多いです。

アダルトチルドレンの役割からの解放


全ての役割に共通して言える事は、自己犠牲の上に作り上げられた仮面ということです。
この仮面のせいで生き辛くなっていたり、仮面のお陰で生きてこられたという生き抜く知恵もあります。
この役割という仮面の中で全てを変える事をするのではなく、活かしていける部分や本音を受け容れ価値観を変えていく事を、分けて考えてあげる事で生きやすくなるようにしていく必要があります。

もう自己犠牲をして自分を無理させなくても幸せになれる事を学び、一番置き去りにされた自分の本音をカウンセリングを通して気付き、自分を大切にしたり、自分の感情をありのまま感じる事を許可できるようにしていきます。

インナーチャイルドが傷を抱えたままになっていて、心の中で今でも気付いてもらえるのを待ち続けています。
インナーチャイルドセラピーで、傷を癒したり、面倒を見てあげたりして、幼い頃に植え付けられてしまった悲しい自己犠牲の価値観を書き換えてあげたりします。

 

 

アダルトチルドレンの回復が難しい理由


何故、アダルトチルドレンの回復が難しいのかというと、幼い頃に植え付けられてしまった価値観は、あなたの中で「当たり前」に変わってしまっているからです。
当たり前に変わってしまっている価値観に気付くのは容易ではありません。また、その価値観が生き辛いと感じていても「罪悪感」を感じてしまい手放す恐れを感じてしまうからです。
この問題を解決しなければ、新しい価値観で歩き出す事が難しくなってしまうからです。

  • その「当たり前」になっている価値観を見つけ、新しい価値観を探していく事。
  • そして自分を生きる事への「罪悪感」を解放していく事

この二つがポイントになります。

心の 陽のあたる場所では、この二つを改善するテクニックをご用意してお待ちしております。
あなたらしい人生を取り戻すお手伝いをさせて頂ける事を、心よりお待ちしております。

代表カウンセラー 柳田 真見

 

お電話でのお問い合わせは 055-288-0948