第1話 ~DV被害からの後遺症~

 

私は心理カウンセラーの中塩結佑です。
カウンセラーになってから今まで数多くのクライアントさんと出会い、たくさんの悩み相談を聞き解決するための手助けをさせてもらってきました。

このブログでは私とクライアントとのカウンセリングセッションでの内容をお話しようと思います。

 

この物語に出てくる、お名前・性別・年齢など個人情報に関わる全てはフィクションです。

御相談内容も実際のクライアントさんの内容から少し変更させて頂いております。

 

 

初回カウンセリングの流れ

 

(ピンポーン)

 

カウンセラーの私にとって、この玄関のチャイムの音はクラアントさんと真剣に向き合うための試合の合図のように感じ、聞くだけで一気に気が引き締まる。

 

「こんにちは、初めましてカウンセラーの中塩です。」

 

笑顔で玄関先にいるクライアントさんを迎え入れる。
可愛らしい白色のワンピースを着ていた二十代の女性は緊張した面持ちだった。

 

カウンセリングルームにご案内し、少し雑談を交えながらカウンセリング用紙の記入をお願いして、お茶を入れに行くために部屋を後にする。

 

まだ緊張はしている様だが、落ち着いて話の受け答えが出来る状態ではある様だ。

 

お茶をお出しして、記入して頂いたカウンセリング用紙を受け取り、一通り目を通す。

 

カウンセリング用紙には

・お名前

・住所

・生年月日

・家族構成

・両親の印象

・お悩みの内容

・カウンセリングで望む結果

・お薬投薬の有無・カウンセリング経験の有無

・催眠療法に対しての抵抗の有無

 

などの記入があるが、もちろん書きたくない情報は書かなくても大丈夫と説明してから記入をお願いしている。

彼女の名前は篠原 由梨さん(仮名)24歳

 

篠原さんのカウンセリング

 

カウンセリング用紙に目を通しながら、雑談をここでもまた交えながらいくつか質問を問いかけつつカウンセリングを進めていく。

「幼少期のお母さんのイメージはどんな感じでしたか?」

「母ですか・・・いつも可哀想で弱い人間だと思っていました。」

「そうだったんですね、そう思った原因などは心辺りはありますか?」

「そうですね、母はいつも男性に追従している感じがしました。我慢しているというか、何も言い返せない人に私は感じていたんです。」

「なるほど、そんなお母様の事をどう篠原さんは感じますか?」

「ずっとそんな母を嫌だと思っていたのですが・・・今の私も幼少期の頃の母のようになってしまっているんです。」

「篠原さんが幼少期のお母様のようだと感じるのは、具体的にはどういった場面でですか?」

「実は数年前に付き合っていた彼が暴力を振るう人だったんですが、それから男性に言いたい事も言えず追従してしまうようになってしまったんです。」

「それはとても辛い経験をしましたね。」

「そうですね、あの頃は本当に毎日が地獄のようでした。彼と離れた今でも男性が怖いというか・・・信じることが出来なくて自分を出せなくなってしまった気がします。」

「そんな経験をしてしまったら男性に恐怖心を抱いてもしょうがない事ですもんね、信じられなくなるのも当然だと思います。」

「彼の事を本当に大好きだったんです、それなのに殴られて凄く悲しかったんです。」

「愛していた人に裏切られてしまったんですもんね。」

「そうです、裏切られたんです。でもそれでも彼が好きだった私は必死に努力して彼を怒らせないようにと、彼が求める私になろうとしたんです。でも駄目でした。何をしても空回りで結局いつも殴られてしまっていました。」

「篠原さんはとっても頑張っていたのですね。それなのに何度も殴られて、とても悲しかったですよね。」

「凄く悲しかったです、でもそれ以上に悲しかったのは彼が他にも女の人がいた事を知ったときでした。こんなに頑張っても結局彼は他の人のがいいんだな、って。なんの為に頑張っていたのか分からなくなってしまいました。」

「暴力も受けて、浮気もされて、きっと篠原さんは身も心もボロボロになってしまったんですね。」

「ボロボロでした、きっと今でもまだボロボロな私のままなんです。彼から言われた言葉を今でも忘れる事が出来なくて引きずってしまっているんです。」

「どんな言葉でしたか?」

「お前なんか生きてる価値ない、誰にも好かれる訳がない、生きてて恥ずかしくないのか、などでした。」

篠原さんは涙を流していました。
おそらく愛していた彼に自分自身を否定する言葉を何度も言われ、篠原さんの心は深く傷ついてしまい今でもそれを忘れる事が出来ず苦しんでいたのでしょう。

「だから私は人に愛される訳がないんです!」

「それを言ってどんな気持ちになりますか?」

「その通りだと思います、大好きだった彼にもそう言われてしまうのだから私は愛されないんです。でも・・・なんだか悲しくなってきます。そんなの嫌です、私だって誰かに愛されたいんです。」

「そうですよね、愛されないと思うのはとても悲しいですよね。それを彼に言われていた時きっと篠原さんはとても深く傷つきましたよね。」

「はい、傷つきました。愛されていると思っていた彼に言われて事実を知るのと同時に、一番そんな言葉を言われたくなかった人に否定された悲しみで絶望を感じるほどでした。もう二度とそんな気持ち感じたくないんです。」

「二度とそんな絶望的な悲しみなんて味わいたくないもんですもんね、篠原さんはもしかしたら自分のせいで彼にそんな言葉を言われたんだって思ってしまったかもしれませんね。」

「そうです、きっと私のせいだったんです。もっと私が彼に愛される努力をたくさんして、彼の期待に応えられる女性だったら彼は私にあんな酷い言葉も言わなかっただろうし、殴られることもなかったと思います。」

「例えば篠原さんの親友がギャンブルにはまっている恋人がいたとして、その恋人がギャンブルを辞めないのはその親友の努力不足だと思いますか?」

「いいえ、思いません。親友がいくら努力してもその恋人はそのままな気がします。」

「そうですよね、恋人がギャンブルにはまっているのは親友のせいではないですもんね。」

「そっか、そうですよね。私の場合も、私がいくら努力したって彼はそのままだったんですよね。」

「そうです、篠原さんのせいなんかじゃないんですよ。」

「そっか・・・私、もう彼なんかの言葉で人生を左右されたくないです。私のせいじゃないってやっと気づけました、今までずっと私のせいでこうなったんだって思っていてとても苦しかったんです。こんな私だから誰にも愛されるわけないんだって思ってずっと恋愛が上手くいかなかったし、男性が怖かったんです。」

「ずっと苦しかったですよね、そうですよ。篠原さんは篠原さんのままで愛される存在なんです。」

 

DV被害の後遺症

DV被害の恐ろしいところは、加害者と離れた後もその当時の事を引きずってしまい再び苦しめられることです。篠原さんの場合も恋人と離れてから何年もの間愛されない存在だという価値観を植えつけられてしまった事により、別れた後も新しく恋愛をすることが難しくなってしまっていまいました。

殴られ、罵られ続けられる事で自分を何度も否定され、自分という存在を認められなくなる事がよく後遺症としてあらわれる事があります。

DVを受けてしまったのは自分せいではないんだと知ることがとても重要なことです。
自分のせいではないと気づくことが出来ると、その間違った思い込みを外す事ができます。
DV被害の後遺症から立ち直る第一歩に繋がることが出来るのです。

自分のせいだ、という思い込みがあると例えば新しく恋愛をしようと思っていても「こんな自分なんて愛される訳ないのだから・・・」と相手から離れようとしてしまったり、恋人からの浮気を常に心配することなってしまったり、恋人の前でいつも偽りの自分でいなくてはいけないと思ってしまいます。
愛されたいと思っていても、過去の経験から無理だと諦めなくてはいけなくなってしまうのはとても苦しい状況になるので、その残っている感情の整理をし、思い込みを外してあげることが大事なのです。

本来の貴方のままで、貴方は愛される価値があるのだと気づけるときっとその人らしいありのままの人生を取り戻せると思います。

 

 

 

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