悪いと認めるのが怖い心理

自己正当化の深層心理


心では自分が悪いと分かっていても、認める事が難しかったり否定してしまったり、そのせいで人との繋がりが上手く持てなかったり、悪くない!としないと自分を保つことが出来なくなってしまう。
私が悪いなんてことは絶対に認めない!と言いながら、少しの批判や否定に傷つき怯えてしまう。
アダルトチルドレンが回復してきた頃にもみられる症状です。

私はこの症状を自己過保護とも言っています。

過保護の子育てを考えてみると、体験させることを極端に奪ってしまう子育てです。
なるべく危ない経験をさせたくないと思うのは親なら誰しも思うでしょうが、過保護は親の保護なしでは生きていけない状態にしてしまう程、外からの刺激を遮断してしまいます。
「○○ちゃんは、私がなんでもしてあげるから、そんな危ないことはしなくていいのよ」一見すると、とても愛情にあふれた親に見えますが、その結果、外の世界はとても危ないもので、危険だから私は一人で生きてはいけない。と親に依存して生きていく事しか出来ず、大人になり外の世界に出た時に判断が出来なかったり、不安だらけになり、自分は駄目なんだと自分に失望してしまいます。

守りすぎもまた虐待になってしまうのです。

自己正当化では、この過保護の親と同じように自分を守りすぎている状態です。
少しの批判や否定は、自分の成長の伸びしろになったり、あるいは悲しみや悔しさを体験することが出来ます。
傷付くことに対して過剰反応してしまう状態が自己正当化の本当の正体でしょう。

ではなぜ傷つくことをそんなにも怖がっているのかを考えていきましょう。

 

傷付く自分とは…


先ず、傷つく自分を認める事をとても怖れています。悲しむことや悔しさや傷ついている自分は価値がない。と思っていたり、その自分は相手にコントロールされた自分だと間違った価値観が入っている場合があります。

傷付くことは自分の為であるのですが、あの人のあの言葉がなければ私はこんな気持ちにはならなかった。だから、私はあんな人の為に傷ついてはいけない。あんな人の為に私は絶対に落ち込んだりしない。と無意識に感じてしまい自分を守ろうとしてしまいます。

確かにその事で感情を感じているのでしょうが、その感情を感じる事はその人にコントロールされて感じたわけではなく、自分自身が感じた感情だという事を分けて考えてあげないと混乱してしまいます。

この感情は私のもので、大切なのは、どういう状況で傷ついたのかではなく、自分自身が感じている感情です。

傷付いた自分がいるのに、いや私は傷ついていないというのは、手にスマホが持っているのに、無い!と言っているのと同じことです。
スマホをカバンにしまいたいと思っているけど、私はスマホなんて持っていないと言っていては、いつまで経ってもスマホは手の中にありますよね。

このスマホを手からカバンの中にしまう為には、先ずは自分の手にスマホがある事を認める事が一番最初にしなければいけない事ですね。それが認められて初めて、じゃあこのスマホをしまうか…と次の選択を考える事が出来る訳ですから。

すでに傷ついている自分がいる。その自分を先ずは認めてあげる事。そして、誰が悪いかどっちが悪いかの犯人捜しをすることなく、自分が感じている感情をそのまま、ありのまま感じてあげる事が大切です。

子どもが水をこぼしてしまったとき、「誰がこぼしたの!」と犯人捜しをしてもなんの解決にもなりませんね。
それよりも拭く事が大切です。

「一緒に片づけよう」それで済むことなんですが、なぜか犯人を捜す事が重要で警察官のように犯人捜しの捜査が開始されます。

これでは、犯人捜しをして裁くことが目的になってしまい、本来の目的が違ってきてしまいます。

自己正当化もこのように犯人捜しが目的になり、私が悪いか相手が悪いかが目的になってしまっているから、傷つくのがこわくなり、ありのまま感じればよかった感情を感じるのが怖くなってしまい、自分の感情を感じない様に正当化してしまうのです。

傷付くという事は、私が悪いと認める事。だから、傷ついてたまるか!となり、自分は悪くないんだ!相手が悪いんだ!と頑なになってしまいます。

誰が悪いかより、自分が傷ついた感情を認める事が重要です。

傷付くことを怖れる理由は分かっていただけたのではないかと思います。次は、傷ついても大丈夫になる強い心の作り方を見ていきましょう。

 

傷付くのが怖い本当の敵とは


実は、人から色々言われても傷付くことって少ないんです。
でも、ある条件が重なると、とても深く傷ついてしまいます。

それは、自分自身が一緒になって否定や批判をしてしまう時です。

人から言われた言葉を、自分が一緒になって批判してしまったり否定する言葉をかけてしまうと、とても深い傷になってしまいます。

自分より相手の言っている言葉が正しいと思っていると、相手が言った言葉を正しい言葉だと思っていたり、自分の価値を相手に預けていたりすると、相手の言葉を聞いて、その言葉通り「私は駄目なんだ」と批判してしまいます。

この預けている価値を自分に戻す方法は長くなってしまうので割愛します。

アインシュタインも言っています。

「どうして自分を責めるんですか?
他人がちゃんと必要な時に責めてくれるんだからいいじゃないですか。」と。

自分だけはいつも自分の味方をしてあげる事で、安心し、批判されても冷静にその事を考える事ができます。
間違った過保護をするのではなく、いつも自分を信用し、自分のした事の間違いや失敗に対して、「うまく出来なかったことで感じた悔しさ、間違った事をしてしまった事への悲しさ」を感じてあげること。
そして、「次はこうしよう!」とどうしたらいいか?を考えられるようになると、過保護に自分を守りすぎなくても、安心して、傷ついたり悲しんだりすることが出来るようになっていきます。

 

傷付いても、悲しさを感じてもあなたの価値は変わらないんです。

代表カウンセラー 柳田 真見

 

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