HSPとは、 アメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロン氏が提唱した概念で、「Highly Sensitive Person」の略、 「人一倍敏感な人」という意味です。
感受性が高く、環境のあれこれにとても敏感なため生きづらさを抱えて生きてしまう事があります。
HSPの方は、ほかの人が気にしていないようなことをきにしてしまうため、人から「気にしすぎ!」 「繊細過ぎる」 「神経質!」などと言われる事が多く、そんな自分を受け容れる事が難しくなり、生きづらさを抱えて生きている事が多くあります。
hspの特徴
hspは以下の特徴が多くあります。全てに当てはまる訳ではありません。
- 感覚に強い刺激を受けると容易に圧倒されてしまう
- 自分をとりまく環境の微妙な変化によく気づく
- 他人の気分に左右されてしまう
- 痛みにとても敏感(歯医者が怖いなど)
- 忙しい日々が続くと、動けなくなり、ひきこもりたくなる
- 明るい光や強い匂い、ざらざらした布地、サイレンの音など五感の刺激に圧倒されやすい
- 豊かな想像力を持っていて、妄想にふけることが度々ある
- 騒音が苦手である(集中できなくなったり、イラついたり、怖くなる)
- 美術や音楽に深く感動する
- とても良心的である
- 些細な事でもびっくりする
- 短期間にたくさんのことをしなければならない時、イラついたり、混乱してしまう
- 人が何かで不快な思いをしている時、すぐに気づくことがある
- 一度にたくさんのことを頼まれると混乱したりしてしまう
- ミスをしたり、物を忘れたりしないように、とても気をつける(指摘されたり、怒られるのがとても怖い)
- 暴力的な映画やテレビ番組は見たくない(サイコスリラー系の映画が苦手)
- あまりにもたくさんのことが自分のまわりで起こると、不快になり、落ち着かなくなる
- 生活に変化があると精神が安定せず混乱する
- 動揺するような状況を避けることを、普段の生活で最優先している
- 大きな音や雑然とした状況など強い刺激に悩まされる
- 学校や仕事で、競争させられたり、観察されていると、緊張し、いつもの実力を発揮できなくなる
- 子供のころ、親や教師は自分のことを「敏感だ」とか「内気だ」と思っていた。
アーロン博士は、感受性を「シャイさとは何か?」という観点から見直して再定義しました。そして、たくさん検証を繰り返した結果、こんな共通点を発見しました。
- 100種類以上の動物で見られる。
- 人口の20%に存在する。
- 男女によって差はない。
- 生まれ持ったものである。(後天的な環境によって身につくものではない)
博士は、これらの特徴をまとめて【感覚処理感受性】という概念を生み出した。しかし、持って生まれた性質とはいえ、そのような遺伝子があるわけではない。
そこで、Highly Sensitive Person(高度に繊細な人)と命名し、先ほどのチェックリストが作られました。
不眠症で悩むあるクライアントさんの話
不眠でお悩みの方がカウンセリングにお越しになられました。
そこで出てきたのは、幼い頃の悪夢でした。
怖くて怖くて…眠るのが辛かった。そうです。
幼い頃の悪夢は、黒い影に追いかけられたり、逃げたいのに体が思う様に動けなくて、とても苦しかったそうです。
小学生の頃、大切な方を亡くした辺りから出てきた悪夢だそうで、その夢をほぼ毎夜見ていたそうです。
当時見ていた、悪夢を思い出してもらい。イメージの中で、振り返り、ヨシッ!こい!と影をだきしめて貰うことをしました。
この影の正体は…悲しみではないかとカウンセリングを通して感じていましたので、悲しみと向き合ってみる事としてのイメージとして、影を抱きしめる。という行動をイメージでしてもらいました。
この方はHSPでしたから、感情が人の100倍も大きく感じられる。
だから、大きすぎる感情が当時の小さい心と身体では怖すぎて、切り離したんだと思います。
でも影の方は自分に逃げられる訳ですから、必死になって追いかけてくる。
感じたくない感情に追い回されるというのは、嫌いな人や怖い人に追い回されるわけですから、当然つらいですよね。
「エルム街の悪夢」も眠ると殺人鬼が出てきて殺される!という内容の映画でしたね。
眠ると出て来るので、眠れない。だんだんと衰弱していく様子が映画にも描かれています。
眠る事で人は休養をし、脳の整理や疲れた体を休めて癒すのですから、眠る時に感じていた不安感や警戒心があったら辛かったと思います。
しかし、この影は実は本来の自分自身に戻る大切な一部ですから、影を否定していると様々な症状として表れてしまいます。
実際にこの方も、この悪夢を見始めたころからうつ病と診断されていたそうです。
この方は、その当時から影というギフトをもらっていたんですね。
でも、その時は6年間も追いかけても受け取ってもらえなかったから、だから今再び大人になり、受け止められるだろうと考えて出てきたんですね。
そして当時の未完の感情である。
悲しみを受け入れることが必要だったのです。
HSPを受け容れて生きる
「自分は人と違っておかしいんじゃないだろうか?」
「自分は変な人間だ」
「自分は間違ってしまう」
「自分はダメな人間だ」
などと感じてしまって、ドンドン自分を信じられなくなり、自分不信になっていきます。
先ほども、クライアントさんの例にありました通り、感情を大きく感じやすい傾向があります。
そうすると、どんどんと大きくなる感情の波に恐れを感じ、その感情を処理できないと感じたり、周りの人を圧倒させてしまい。
「感情は恐ろしいものだ」
捨ててしまった感情は、捨て去ったようでも、他の痛みとして戻ってきます。
先ほどの様に不眠として戻って知らせてくれる場合や、原因不明の痛みなど体の不調として、戻ってきて知らせてくれる事があります。
過去に捨てた感情を、もう一度感じる必要があります。
あなたの痛みは「手当」が必要だよ。「もう自分らしく生きるために取り戻そうね」というメッセージなのです。
思考は様々な感情を生みます。感情はエネルギーで在り、心の動き、生理学的現象なので感情は体に影響を及ぼします。
感じた感情は、否定したり拒絶すると強く跳ね返ってきてしまうので、優しく寄り添ったり受け容れる必要があります。
自分は人と違うんじゃないかと言う恐怖心や不安による痛み。
感情を感じる怖さや、絶望感などの痛み。
もし愛情補給が必要な場合(アダルトチルドレンなど…)は、インナーチャイルドセラピーを用いて、さらに深い癒しをしていくこともあります。
hspの素晴らしさ
異なる文化や国や人種の中でも、自分をどのように適応したらよいのかを読み解く力がある事も良さの一つです。
神社などに行くとそれだけで清々しい気持ちになれたり、部屋の掃除をするだけで気持ちを切り替える事が出来たりします。
誰からも教わっていないのに知っている事があったり、hspではない人からしたら、不思議な事も自然と意識する前から出来る事があったりします。
小さなお子さんの場合は、親が理解してあげるだけで、大きな安心感になり、お子さんは自信を持って自分を活かしていくことが出来るでしょう。